アメリカカンザイシロアリの群飛③(群飛距離)

KSバスターズの中根です。
今回は群飛距離についてお話していきたいと思います。

翅アリの翅はすぐに取れるので、飛行能力は高くないイメージでしたが、意外と上手に飛びます。速度も出ますので、飛んでいる翅アリをアメリカカンザイシロアリのそれと見分けるの難しいです。

カリフォルニアの記録では、翅アリは2~3mの範囲で1~数回飛ぶものが最も多く、よく飛ぶものは800~1600も移動します。
当日の風次第では、相当な広範囲に翅アリが飛んでいくことになると思われます。
近距離ほど翅を落としたオスメスが出会う可能性が高いので、同一家屋内や隣家など近距離へ分散定着した翅アリがもっとも多いと考えられます。
被害タンス内部や小屋裏など発生源に近い場所から脱落した翅が見つかることから、至近距離分散で同一家屋内に定着する個体が多いと推定されます。
そのようにして増殖し、1家屋内に30を超えるコロニーがある例もあります。

私の家でも相当数のコロニーができており、コロニーごとに活動時間や活動ペース、生育度合いが違っていて面白いです。
早朝型、深夜型、移動型、食事型等、それぞれのコロニー独自の性格があって、兄弟でも性格が違うのと似ているなと思っております。
お隣の家もアメリカカンザイシロアリの被害にあっていて、春から夏にかけて翅アリが飛び立っています。
私の家は相当駆除しましたので、今年は5匹ほどしか見かけませんでしたが、お隣から新たな住人を受け入れていそうでげんなりしています。

このように、アメリカカンザイシロアリは至近距離で濃密に定着していく性質があるといえるでしょう。

参考文献
アメリカカンザイシロアリの生態と防除法,森本 桂,木材保存(Wood Preservation)35(2),44-51(2009)

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